介護保険が実施され7ヶ月余が過ぎました。「高い保険料・利用料」が、低所得者を中心にサービスを縮小せざるをえない事態が広がっています。
厚生省のモデルといわれた品川の介護保険ですが、実態は問題山積みが現状です。品川での大きな問題点2点に絞り報告します。
今年度の介護保険の予算は122億円、保険給付費は月額9億5400万円です。下の表のとおり、月々の利用実績は70〜80%、このままいくと年度末には30億円近い予算が余る計算になります。
なぜ、このような事態になったのでしょうか。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | |
介護給付費の実績 | 4.82億円 | 6.17億円 | 6.64億円 | 6.62億円 | 6.57億円 | 7.54億円 |
予算(給付費)執行率 | 50.52% | 64.70% | 69.60% | 69.40% | 68.90% | 79.00% |
一つは、利用料の1割負担が、低所得者にサービス利用のにブレーキになっていることです。これまでヘルパーを受けていた人は3年間に限り3%の利用料負担となる経過措置がとられていますが、新たにヘルパーを利用する場合や訪問看護、デイサービス、巡回入浴など所得に関係なく1割の負担が必要になります。品川での国民年金の平均支給額は52700円、低所得者が「介護を受けたくても一割の負担ができず、サービスを受けられない」こんな事例が広範囲広がっています。
区の「予算あまり現象」の背景には重い利用料負担があることは明らかです。
<事例>
83歳の女性が心疾患をわずらい週1回の訪問看護を利用していましたが、1割の利用料(1時間870円)が払えず2週に1回に縮小、その後、持病が悪化し緊急入院し、自宅に帰れなくなっています。
品川区は、お年よりの介護計画(ケアープランを13の在宅支援センター)の立案を任せています。支援センターのうち3個所は、ダスキン、ニチイ学館、ベネッセ・コーポレーションなど大手シルバー産業に委託をしています。このため、昔から介護を地域で実施してきた地元業者、新規参入した中小事業者は、ケアープラン作成や利益の多い身体介護ができないでいます。
共産党区議団の中小事業者訪問の中で「こんな状況が続けば倒産だ。せめてケアープランを作らせてほしい」「品川ではやっていけないので目黒や大田にいかざるをえない」の声が出されています。
党議員団は「中小事業者こそ昔から地域に密着をして技術を蓄積している。23区ではどの区もおこなっていない、大手シルバー産業独占をあらため、中小事業者に情報の提供とケアープラン、身体介護をまわすべきだ」と追求、区は「大手シルバー産業は技術もあるし信頼性がある」と拒否をしています。
11月22日から始まる第4回定例区議会に在宅サービスの利用料を実質3%とするよう福祉手当として助成する条例提案をおこないます。
これは、サービス抑制となっている1割負担を軽減することにより、必要なサービスを受けられるようにすること、を目指したものです。
なお、保険料引き下げについても一般質問で南恵子議員が(11月22日、午前1時)取り上げます。
ぜひ傍聴をよろしくお願いします。