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2004年10月13日決算特別委員会での論戦

小中一貫教育国語科「これでは漢字嫌いの子どもがますます増えてしまう」

なかつか亮


中塚委員

私からは、153ページの小中一貫教育について質問を行いたいと思います。9月28日の文教委員会でカリキュラムの説明がありまして、その中で、国語科のカリキュラムについて伺いたいんですけれども、初めに、改めて今の子どもたちの国語の課題について説明をしていただければと思います。

中島指導課長

今の子どもたちの国語の課題というのは、なかなか大きな部分でございますけれども、具体的な話に落としてまいりますと、例えば読書離れが進んでいる、活字離れが進んでいる、そして、長文とか、そういったものに根気よく取り組んで読解することがなかなか難しい、語彙が非常に不足している、こういったような状況があるというふうに捉えてございます。

中塚委員

私は漢字の学習について本会議でも取り上げたんですけれども、一貫教育での漢字の配当が前倒しされることに漢字嫌いが増えるんじゃないかという不安の声を保護者の方や、教師の方からも伺っております。しかし、私は先生方に聞いたんですけれども、子どもは初めから漢字が決して嫌いではないと。小学校の先生に聞きましたら、小学校1年生で漢字を教え始めると、「先生、僕漢字いっぱい知っているよ」とか、「山」という漢字を学習すると、「それはサンとも読むんだね」とか、目を輝かして、うきうき話を聞いているとおっしゃっていました。しかし、6年生に上がると途端に漢字が好きではなくなってくる。漢字が嫌いになってくる。それが今の率直な子どもたちの姿なのかなと思って、私も聞いていました。

そこで、品川区は漢字が嫌いな子どもたちが6年生になって現れてきている。子どもたちにとってどういう授業が漢字が嫌いだというのをつくっているのかというのを、お考えを聞かせていただければと思います。

中島指導課長

今、委員のほうからご指摘がございましたけれども、すべての子どもたちが漢字嫌いという形でないとは考えます。実際問題としまして、漢字の指導法につきましては、それぞれ学校、それぞれの教員によってさまざまなやり方の違いが出てまいります。6年生でもパズル的な要素を使いながら部首を使った漢字の学びをするケースがございますし、いろいろな授業の取り組みの仕方で子どもたちの興味、関心を高めることができるものと考えてございます。

中塚委員

パズルを使ったり、いろいろ教材を使ったり、クラスごとで工夫をしながら行って克服しているというお話がありましたけれども、一貫教育では学年ごとに漢字の数が変化していきますけれども、漢字が増える、前倒しされるのが、それぞれ学年ごとにどれだけ変わってくるのか、増える理由と、その根拠と言いますか、なぜ変化するのか教えていただければと思います。

中島指導課長

一貫教育の内容では、現在中学校の卒業までに常用漢字のすべての漢字を読めるようにするという形になってございます。実際には1,945という文字数でございますけれども、それにつきましては変わりはございません。

漢字の書きのほうについてでございますけれども、現行では中学校3年生が終わるまでに1,006字の漢字を書けるようにするというところ、これを一貫教育のカリキュラムでは、7年生が終わる段階で1,306字が書けるようにするということでございます。その中にギュッと押し込むというようなイメージを持たれているかもしれませんが、決してそういうわけではございません。その分、三、四年生のところの国語の時数を増の形にして、そこの中で漢字の指導を十分に行っていくというところでございます。

なぜこういうようなメニューを考えたのかということでございますけれども、もともと小学校の中学年の時期というのは非常に物事を吸収しやすい、発達段階的に、発達課題的にさまざまな暗記力ですとか、そういったものが発達する段階と言われております。その中で、これは今後の学習指導要領の編成にもかかってくるんですが、日本の全体の中で国語教育の今後のあり方を問う審議会の中でも、今後の漢字の指導については前倒しをしていきたいと、そういったような答申が出されている状況がございます。今後のそういった状況の中を踏まえまして、その答申ほどではない字数の中で現在この字数を一貫校では考えてございます。これをすることによりまして、例えば早くから語彙を豊富にすることで、繰り返し漢字とか、読みを7年生、8年生、9年生とベースに持った形で指導することができる点が非常に大きなポイントとして挙げられます。

また、それらの豊富な語彙を使って、ほかの教科の学びも波及的に広がっていくことができる。これが二つ目のポイントだと、このように考えてございます。

中塚委員

私もすべての子どもに漢字を喜んで、楽しく学んでいただきたいなと思っているんです。一方で、漢字が苦手といいますか、嫌いといいますか、子どもたちがいるのは、その理由について、先生方に伺ったんですけれども、子どもが漢字学習の中で一番嫌いなことに対して、漢字を機械的に何度も書いたり、機械的に意味もわからず何度も読んでみたり、こういうのが一番嫌いだと子どもたちが話していると言っていました。

先ほど区長の答弁の中でも、子どもの意見を大切にしていきたいとおっしゃっていましたけれども、こういった意見が漢字の前倒しが子どもたちにどんな影響を及ぼしていくのか、カリキュラム検討委員会の中でいつ、どのような論議がされてきたのか、もう少し教えていただければと思います。

中島指導課長

国語科のカリキュラムの検討委員会につきましては、昨年度当初に立ち上げてございます。その中には小学校、中学校の実際に本区で指導に当たっている先生方、これは教育会という、小中学校の教科ごとに集まる研究会がございまして、小学校の国語部、中学校の国語部に集まってくる小中学校のそれぞれの専門の先生方の中からよりまた推薦いただいた専門性の高い先生方にカリキュラムの検討に入っていただいております。その中で現場での実践を踏まえながら、また、審議会の方向も見据えながら、漢字のカリキュラムについては取り上げてきているところでございます。そういった背景から、十分と現場の状況は把握していると、このように考えてございます。

中塚委員

いろいろ論議が進んでいるかと思うんですけれども、私はちょっと調べてみまして、楽しく学ぶ漢字学習の実践をさまざまある中で、「子どもと教育」という雑誌の中に、1セット5課程という教育実践が寄せられていました。千葉県の先生が2年生の担任のクラスに上がったときに、漢字嫌いの子どもをなくしたいと思って、2年生の160字の中で67字を選定して、1セット5課程という方法で、子どもたちに漢字っておもしろいな、便利だな、この言葉はどんなふうに使うのかな、文章の中ではこんなふうに使われるのかな、一文字、一文字教えていったと。それをすることで、子どもたちが漢字を好きになったり、漢字の力がついていったという報告を聞きました。しかし、一貫教育のカリキュラムでは、特に三、四年生で漢字の字数と、授業数が増えて、教師や、指導方法の工夫がよりやりにくくなって、かえって子どもたちの漢字嫌いが増えてしまうのではないのかなと思うんです。子どもは機械的に意味もわからなく繰り返すということが一番苦痛なわけでして、漢字の数を増やしたり、時間も増やしたり、もっと嫌いになってしまうのではないかと心配しています。これでどうして楽しく勉強ができるのか、一貫教育の中でできるのか、もう少し説明をしていただければと思います。

中島指導課長

漢字の指導につきましては、すべての指導を機械的に丸暗記という形で実施するということは想定してございません。実際には私どものほうで今副読本も作成しているところでございますが、その中で、こういった場面にこういう語彙を使っていくというような事例なども含めながら、漢字を身につけていけるような体制をこちらのほうでもつくってまいりたいと考えてございますし、現場でもそういった工夫は十分しております。

また、時間を増やすというお話がございましたけれども、先ほども申し上げましたように、現在の時間の中でこれだけの漢字をやるということになりますと、これは大変窮屈な部分が見えてまいるかもしれません。時間数を増やして、その中で十分に子どもたちに漢字に触れ合う時間をとっていくということでございますので、ご理解いただきたいと思います。

中塚委員

先ほど、繰り返しやるわけではないとおっしゃいますけれども、今の学習指導要領の中で、率直に教師たちは漢字の量に困惑している、悩んでいるというのが実態ではないかと思うんです。学校の勉強で、なぜ漢字のことを取り上げるかというと、漢字でつまずくことが勉強嫌いをつくり出す引き金になっているという話も教師からよく伺います。勉強嫌いは、どうせ僕はみんなより頭が悪いからと、こんなふうに心を痛めて、それが不登校になったり、いじめにつながったり、こうした問題を引き起こすのではないかと思って、問題として取り上げているんです。

私は、先日ある方から電話がありまして、この方は50年間にわたって漢字指導研究に携わって、実際今日の朝も電話があったんですけれども、二つの会社の漢字指導書に執筆されている方ですけれども、その方から現状のお話を聞いてみました。そうしたら、やっぱり実際執筆するにあたって、公立の先生も、私立の先生も、漢字が多過ぎて、それに振り回されて、国語の時間が本当に大変だったと。また、二つの会社の漢字指導書を執筆しながら、これを読んで全国の先生は漢字の数が多過ぎて、1字1字の指導の時間がとれないのではないか、丁寧にできないのではないか、悩むんじゃないかと話していました。

品川区の一貫教育の国語のカリキュラムを、新聞記事や資料などに目を通しまして、より一層やりにくくなるのではないかとおっしゃっていました。実際に授業に携わっている先生方や、直接教科書を執筆されている方からも、こういった意見が寄せられているんです。ですから、僕は心配に思っております。これでどうして品川区の子どもたちが楽しいことを感じる時間となるのか、教えていただきたいと思います。

中島指導課長

さまざまなご指摘でございます。実際に今、私立の先生の実態というお話もございました。私立学校のほうでは、私の知っている範囲では、現在の公立の15倍から2倍ぐらいの授業時数を充てているということですから、私どもも基本的には国語教育の充実のために三、四年生との時間を増やして考えていくという部分と考えは同じ部分ではないかなと思っております。

また、実際に現在中学校では漢字の読みの字数ほど書くほうの指導はしなくてもいいことになっております。読むほうは1,945字を中学校3年生までに教えますが、書くほうは1,006字までという形になっておりますけれども、実際問題としては1,945字の読み書きに触れて指導をしている状況がございます。現在の中でもそういった状況の中で、書くほうの指導をしていただいている状況がある。それをまた前倒しというお話でございますけれども、三、四年生のところから時間を十分にとって指導をして、積み重ねていくことで、より7,8,9年生へつながる指導の充実が図れると、こういう視点をお考えいただきたいなと思います。

また、つまずいている子どもたちが学校嫌いになるというお話もございました。それをさせないようにするのが教師の専門性の部分でございます。運動嫌いの子どもが学校嫌いになる、だれだって好きな教科もあれば、苦手な教科もある。みんなが苦手な教科を持っていれば、全員が学校嫌いになってしまいます。そのようにさせないのがプロとしての教師の力量であり、品川区の先生方は一生懸命取り組んでくださっていると考えております。

中塚委員

先ほど紹介した先生は、教育出版の3年生の国語の教科書の上、来年から使われる教科書みたいですけれども、その中で自らの研究をした1セット5課程という、今日は資料も持ってきたんですけれども、こういう1個、1個丁寧に漢字を覚える、機械的に学ぶのではなくて、つくりとか、書き順とか、漢字の成り立ちとか、そういうことで子どもたちの興味や関心を引き立てて、発見する喜びを与えて、こういう時間が必要ではないか。しかし、一貫校教育の漢字のカリキュラムで増える時間というのは読書指導なんですね。今は現場の先生たちが漢字指導で困っているのは、漢字の量が多過ぎて、時間が少ない。一貫教育では読書指導は確かに増えますけれども、漢字の書くことや、話すことや、時間帯はそのまま同じなんですよね。だから、不安を感じているわけです。一貫教育の目的は、一人ひとりに合った教育とおっしゃいますけれども、直接執筆されている方はもとより、現場で子どもたちに接している方々が、子どもたちの漢字嫌いを増やすのではないかと、たくさん寄せられています。

品川区の国語のカリキュラムですけれども、どんな実践が今までされてきたのか、品川区以外のところでありましたら、教えていただきたいと思います。

中島指導課長

まず、最初のお話で、来年度から使う教科書の出版会社のお話がございましたが、今ご指摘になられた出版会社の教科書ではないと、このように考えてございます。

それから、一つ一つの漢字のさまざまな学び方につきましては、先ほども申し上げましたように、副読本でまさに充実を図っていきたいと考えているところでございます。

また、3年生、4年生で増加する字数は読書指導にあてるというお話でございますけれども、決してそういう形ではございません。週1時間平均で、1年生から4年生までは読書活動を展開していきたいと思っておりますけれども、年間にしますと、およそこれが30時間前後になるのではないかなと思います。3年生、4年生で55時間ぐらいの字数の増を考えてございますので、そのおよそ半分は読書活動のほうにあて、残りの半分を漢字の習熟にあてていく、こういったような内容を考えてございます。

品川区以外で一貫教育の国語のカリキュラムの事例があるかというお話でございますが、私の知っている範囲ではございません。

中塚委員

一つの漢字の配当数といいますか、これ一つでも今までさんざんさまざまな論議がされて、こうしようじゃないか、ああしようじゃないかという議論がされて、だけど、品川区の漢字カリキュラムはさまざまな意見が上がっていて、品川区以外でまだ実践がされていない。率直にまだ不十分な点、多くの意見も集める点があるのではないのかなと思うんです。この先生の著書に「楽しく学ぼう漢字」という本があるそうですけれども、インターネットのイーエスブックスという中でたびたび1位になって、教員の方からも多く愛読されているというお話も伺いました。

もちろん国語だけではないんですけれども、算数、理科、社会、市民科一つ一つに対して、本当に丁寧な議論と、論議がされてきたのかと。さまざまな立場の方々が広範の意見を寄せて、教師、学識経験者はもちろん、そういった意見がどこまで集められているのかと思うと、大変疑問です。積極的に意見を集めて、慎重に見直すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

中島指導課長

先ほどちょっと申し上げました、文化審議会の国語部会という、今後の国語教育のあり方を考える会がございます。その中では、今後小学校6年生までに常用漢字を一通り読めるようにすることが望ましい。この常用漢字というのは、小学校、中学校で習う1,945字でございます。それを小学校6年生までに今後読めるようにすることが望ましいと。さまざまな国語に関する知見をお持ちの方々が国の中央で集まっている会議で提言をしております。それに基づいて今後の学習指導要領が編成されていくようなこれまでの経緯がございます。

そういった流れの中で、漢字の指導というものは今後小学校、中学校でどのように考えていくべきかという視点でもって私どもの品川区の、先ほど申し上げましたスペシャリストの小中の国語の先生、それから、国語科教育の学識経験者の方、また、さまざまな教科書の執筆等にも係わっていただいております校長先生方、こういったような国語の識見を深めた方々が1年半にわたって現在のところ検討をしてきていただいた結果でございますので、今委員のご指摘のあったようなところは十分踏まえて、検討をされているものと考えております。

中塚委員

まとめたいと思うんですけれども、政府の文化審議会でやっていると言いますけれども、実際子どもたちにそのカリキュラムがどうなのかというところはまだ研究されていないのが現状だと思うんです。国の研究を品川区で実践する、言葉を変えれば、まるで実験台にするような、品川区の子どもたちをそういう扱いをするのはやめていただきたいと思うんです。子どもたち自身が学ぶ意味を発見されるような学習方法、学ぶ意欲を増す方法、それが特に漢字でつまずくということは、私の友達もありましたけれども、漢字でつまずいて、学校の勉強が嫌いになってくる、友達関係も悪くなってくる、不登校になっていくことをたくさん聞いているわけです。ですから、真の子どもの実態に即して、教師や、専門家の意見をたくさん聞いて、見直しを進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

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