6月27日の品川区議会本会議は、今年の海外調査(視察)の実施を決定しました。
自民、公明、民主、合同の与党各党は賛成。共産党は「不況が深刻化しているもとで調査を実施すべきではない」と、みやざき克俊幹事長が反対討論をおこないました。
今年度の海外調査の概要は次のとおりです。
みやざき議員の海外調査実施に対する反対討論
私は、「議員提出第4号議案、議員派遣の件」に対して、海外調査実施に反対する立場から討論を行います。
今回提案されている海外調査は、基礎的自治体のあり方および環境問題への対応策の調査を目的に、アメリカの2都市に議員7名を派遣するというものです。予算は一人あたり70万円、随行含め560万円です。私は、海外調査実施提案の問題を3点にわたって述べたいと思います。
1点目は、必要性についてです。
基礎的自治体のあり方および環境問題は、一般的には重要課題の一つだと考えます。しかし、基礎的自治体のあり方では、地方自治の歴史も仕組みもアメリカと日本ではまったく異なります。
実行地球温暖化問題では、アメリカの離脱により京都議定書の実行が危ぶまれています。それなのに、なぜアメリカでの調査が必要なのでしょうか。560万円もの公費を使って、随行職員含め8名を派遣する必然性は認められません。
しかも、現在はインターネットなど情報技術の進歩もあり、わざわざ現地に行かなくてもかなりの情報収集は可能です。まず、こちらの努力をすべきではないでしょうか。「百聞は一見にしかず」という程度の発想からなら実施すべきではありません。
2点目は、海外調査実施の決め方の問題です。
今回は調査内容、場所、期間、メンバーを議決し、調査内容の詳細はこれから決めるというものです。しかし、私の経験では、こんな発想は民間では考えられません。視察や研修実施にあたっては、目的達成のために何をどこで誰が調べるのかなど、様々な角度から必要性・重要性を吟味します。今回の提案では、「海外視察先にあり」と言わざるを得ません。
3点目は、今回の提案が、海外調査に関する「申し合わせ確認事項」の精神に反することです。
海外視察は、マスコミ報道や国民の厳しい批判が集中するなか全国の地方議会で見直しが広がり、品川区議会も98年度海外視察を中止。99年区議選後、海外視察を見直し、「海外調査に関する検討項目および遵守事項」を全会派一致で確認。海外調査については緊急に対応すべき課題、重要課題としました。
今回の提案にはこの海外視察見直し、遵守事項の精神が生かされていないと言わざるを得ません。海外視察見直しの流れに逆行するものではないでしょうか。
わが党は、海外視察に当初参加しましたが、海外視察の目的が不明確、「観光旅行」的色彩が強い、不況のなか多額の税金を使うなどの問題を指摘、93年以降は不参加を通すとともに海外視察の抜本的見直しを求めてきました。
特にこの不況下、倒産・失業は最悪の状況が続いています。今朝のテレビニュースでは先月の完全失業率が5.4%と前月より0.2ポイント上回ったと伝えました。生活保護も10年前と比べて倍増、暮らしを守る施策の実施こそ求められていると思います。
東京23区では昨年度海外視察を実施したのは品川区など3区だけでしたが、こうした厳しい経済状況が反映しているのではないでしょうか。
あらためて、海外調査の中止を訴えまして討論を終わります。